概要
起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation、OD)は、自律神経が適切に働かず、立ち上がった際に血圧が十分に調整されないことで、立ちくらみやめまい、強い倦怠感などが生じる病気です。特に、朝起きられないという訴えがしばしば聞かれ、起床時から午前中にかけては体調不良で、夜が近づくにつれて元気になるという特徴があります。小学生から成人まで発症する可能性がありますが、特に10~16歳の思春期の子供に多く見られます。外見からはわかりにくいため、怠けやサボりと誤解されやすく、学校や家庭での理解とサポートが欠かせません。
主な症状
朝起きられない
起立性調節障害の代表的な症状の一つが、朝の起床困難です。朝、起きようとしても倦怠感やめまいが強く、なかなかベッドから出ることができません。このため、学校や日常生活に支障をきたすことが多く、特に午前中は体調が悪い傾向にあります。午後になると体調が落ち着く場合もあり、これが特徴の一つです。
立ちくらみやめまい
立ち上がった際に血圧がうまく調整されず、立ちくらみやめまいが頻繁に発生します。横になると症状が軽減することが多いのが特徴です。この症状により、軽い動作でも強い不快感を感じることがあり、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
不登校や社会生活への影響
朝の起床困難や体調不良のため、学校に通えない「不登校」になるケースも少なくありません。周囲からの理解が得られず、怠けや甘えと誤解されることが多いため、精神的な負担が症状を悪化させることもあります。適切なサポートと周囲の理解が必要です。
起立性調節障害の原因
自律神経の乱れ
起立性調節障害は、自律神経が正常に働かないことが原因とされます。特に思春期には自律神経が不安定になりやすく、成長期の子供たちに多く発症する傾向があります。体が急激に成長することで、血圧調整機能が一時的にうまく働かなくなるのです。
栄養状態の影響
栄養状態も起立性調節障害の発症に関係しています。特に鉄分やタンパク質が不足すると、血液循環が悪化し、自律神経に負担がかかりやすくなります。女性に多く見られるのは、月経による鉄分の喪失が一因と考えられています。
診断と治療
診断方法
起立性調節障害の診断では、症状の特徴や経過を丁寧に確認し、複数の検査を組み合わせて行います。
新起立試験:立ち上がり時の血圧と脈拍の変化を測定し、自律神経の反応を調べます。
血液検査:鉄分やビタミンなどの栄養状態を確認し、貧血や栄養不足の有無をチェックします。
各種画像検査:頭部や内臓の状態を確認するための画像検査を行うこともあります。また、耳鼻科や眼科疾患が関係している可能性がある場合には、連携先の専門医をご紹介する場合があります。
治療療法
診断後は、患者様の症状や体質に合わせて治療を提供しています。
生活習慣の改善:規則正しい生活リズムが重要です。適度な運動、早寝早起き、バランスの取れた食事など、日常生活の指導を行い、患者様が自律的に生活を整えられるようサポートします。
栄養療法:鉄分やタンパク質の補充を行い、体内の栄養バランスを整えます。特に貧血や低栄養が確認された場合には、プロテインや鉄剤の摂取を推奨しています。
心理的サポート:患者様とご家族が病気に対する理解を深め、安心して治療に取り組めるようカウンセリングを提供します。
起立性調節障害に男女差はある?
起立性調節障害は、男性よりも女性に多く見られる傾向があります。一般的に男女比は1:1.5~2程度で、女性が多く発症します。これは、月経による鉄分やタンパク質の喪失が関係していると考えられます。また、成長期の10~16歳は二次性徴によって身体が急激に成長するため、特に栄養が必要とされ、症状が出やすい年代です。
遺伝との関係
起立性調節障害は、患者様の約半数に家族歴が見られますが、必ずしも遺伝だけが原因とは言えません。家族内での生活習慣や食の嗜好が似ているため、鉄分やタンパク質不足が共通していることが原因である可能性もあります。当院では、家族全体での栄養改善を重要視し、食生活の見直しを通じて症状の緩和を目指しています。
起立性調節障害でお困りの方へ
起立性調節障害は、自律神経の乱れが原因で、患者様だけでなく周囲のサポートも必要な病気です。朝起きられない、立ちくらみがある、午後になると体調が安定するなどの症状が見られる場合、早めに相談されることをお勧めします。
当院では、患者様一人ひとりの症状に合わせた治療プランを提供し、長期的なサポートを通じて症状改善を目指します。また、患者様のご家族や学校関係者の方々に対しても、病気に対する理解を深めるサポートを行っています。症状でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。







