見守る勇気が子どもを強くする —— 思春期の親子関係
2025.8.19
起立性調節障害など、目に見えない体調不良が続くとき。
「どう関わればいいのだろう」と悩む親御さんは少なくありません。
「Health&Cureクリニック赤坂」院長の山口里恵は、そんな時期だからこそ“手をかけすぎない勇気”が回復の大きな助けになると話します。
「手をかけすぎる」ことが逆効果になることも
—— 思春期の子どもとの関わり方で、特に注意すべき点はありますか?
「体調が悪いときに手助けしたくなるのは自然なことです。ただ『体調が悪い=親が全部やってあげるべき』となってしまうと、子どもは自分で体調を把握したり整えたりする経験ができなくなってしまいます。
そうすると“自分で治っていく力”が育たず、かえって回復が長引いてしまうことがあるんです。
特に思春期は、自立と依存のはざまで揺れ動く時期。あえて“信じて任せる”ことが、子どもの自己効力感を育てます。」

「信頼して見守る」姿勢が大きな安心に
—— 親御さんができるサポートは、どのような形が望ましいのでしょうか?
「私は診察で、保護者の方に『手を引く勇気も時には必要です』とお伝えすることがあります。突き放すのではなく、信頼して見守るという意味です。
実際に“干渉されるより、そっとしておいてもらえた方がありがたかった”と話す子どもたちは多いです。心配されすぎることがプレッシャーとなり、“期待に応えなきゃ”と逆にストレスになる場合もあります。
子どもが自分で『今日は無理をしようかな』『ここは休もうかな』と判断できるようになると、体調管理に対する主体性が育ち、回復へとつながっていきます。」
医師はあえて“傍観者”に徹することも
—— 院長ご自身の診療でも、意識されていることはありますか?
「診察の中で、私はあえて“待つ時間”をつくることがあります。子どもが自分の言葉を出せるようになるのを待つためです。
沈黙は最初は気まずく感じられるかもしれませんが、それも大事な時間。本人が“自分の声”を出す準備をしているときは、無理に急かさないようにしています。
保護者の方にも同じように、あえて『ちょっと引いてみる』ことをおすすめする場面があります。過干渉を避けることが、自己表現や自己判断の力を育てるのです。」

親御さんへのメッセージ
—— 最後に、悩んでいる親御さんへメッセージをお願いします。
「お子さんが不調のとき、『自分のせいかも』と感じてしまう親御さんは少なくありません。でも大切なのは“今どう関わるか”です。
子どもは親の心の距離感にとても敏感です。干渉しすぎず、無関心でもない。ちょうどよい“見守り”のバランスは一朝一夕にはつかめませんが、日々の中で試行錯誤することが親子関係の成長にもつながります。
どうか完璧を目指さず、『今できることをやってみよう』という気持ちでゆるやかに関わってください。その姿勢が、お子さんにとって一番の安心になります。」




