なぜ“原因から整える医療”を行うのか ―― 山口里恵の診療に栄養と腸内環境が欠かせない理由
2026.5.22
起立性調節障害(OD)や慢性的な体調不良に悩む子どもたちの診療を続ける中で、「Health&Cureクリニック赤坂」院長・山口里恵は、ある共通点に気づいたといいます。
それは、症状の背景にある体の状態です。
めまい、倦怠感、朝起きられない——
そうした症状の奥には、栄養状態や腸内環境、自律神経の乱れなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。
「症状だけを追いかけても、なかなか根本的な改善にはつながらない」
そう感じるようになった山口院長は、診療の中で「原因から整える医療」を重視するようになりました。
今回は、その診療の考え方についてお話を伺いました。
症状だけを見ても、根本は変わらない
―― 先生が“原因から整える医療”を重視するようになった理由を教えてください
「診療を続けていると、ある共通点が見えてくるんです。
起立性調節障害のお子さんたちを詳しく見ていくと、ほとんどのケースで
栄養状態
腸内環境
自律神経
このあたりに何かしらの問題があることが多いんですね。
もちろん、症状としては“めまい”とか“倦怠感”とか“朝起きられない”という形で現れます。
でも、それは体の中で何かが起きている結果なんです。
だから症状だけを見て治療をしていても、根本が整わないと、なかなか良くならないことが多いんですね。」

腸内環境と栄養状態が、自律神経を支えている
―― 特に重視されているのが「腸」と「栄養」なのですね
「そうですね。診療をしていると、腸内環境と栄養状態は本当に大きいと感じます。
たとえば腸は、“第二の脳”とも言われるくらい大切な臓器です。
腸内環境が乱れると、神経伝達物質のバランスにも影響します。
自律神経の働きにも関わってくるんですね。
私は今、起立性調節障害の背景には
腸内環境の乱れ → 神経伝達物質の不足 → 自律神経の不調
という流れが関係しているケースが多いのではないかと考えています。
だからこそ、腸を整えることや、必要な栄養を補うことを大切にしています。」
栄養療法は「特別な治療」ではない
―― 栄養や食事を重視する医療に驚かれる方も多いのでは?
「最初は驚かれる方もいますね。
でも、私としては“特別な治療”をしているつもりはないんです。
本来、人の体は
食べたものから栄養を取り
腸で吸収して
それを使って体を動かしています
この基本がうまく回っていれば、体は本来の力を発揮できるはずなんです。
ところが現代の生活では
食事の偏り
加工食品の増加
ミネラル不足
など、いろいろな影響でこのバランスが崩れやすくなっています。
だからまずは、体の土台を整える。
そこから体が本来の力を取り戻していく。
そういう医療を私は大切にしています。」

「臨床で起きていること」を大切にしたい
―― 診療の中で、新しいアプローチも取り入れているそうですね
「はい。臨床の中で“これは良いかもしれない”と思うものは、常に学び続けています。
最近も、栄養療法で起立性調節障害の改善に取り組んでいる先生と情報交換をさせていただいています。
臨床医として大切なのは、
目の前の患者さんが実際にどう変わっているか
だと思うんですね。
もちろん医学的な検証は大事です。
ただ、臨床の現場では“実際に良くなっているケース”から学べることもたくさんあります。
だから私は、常に新しい知見を取り入れながら、診療を進化させていきたいと思っています。」
目指しているのは「症状を抑える医療」ではない
―― 最後に、患者さんやご家族へ伝えたいことを教えてください
「私が目指しているのは、“症状を抑える医療”だけではありません。
もちろん症状のケアも大切です。
でもそれ以上に、
体の状態そのものを整えることが大事だと思っています。
腸内環境を整えること。
栄養状態を整えること。
生活習慣を見直すこと。
こうしたことを積み重ねていくと、体は少しずつ本来の力を取り戻していきます。
そして、その結果として症状が改善していく。
私は、そういう回復をこれからも一人でも多くの患者さんと一緒に実現していきたいと思っています。」




