Health & Cureクリニック 赤坂

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院長ブログ

起立性調節障害を得意とするクリニック

給食は“一食”ではなく“教育” ―― 山口里恵が区長に伝えた、「お手本としての給食」 

2026.3.20

先日、港区の区長と直接言葉を交わす機会がありました。
「Health&Cureクリニック赤坂」院長・山口里恵が、その場で伝えたのは、
オーガニック給食の是非や栄養素の細かな話だけではありません。

診療の現場で、そして一人の母として、
長く感じ続けてきた「給食が持つ影響力」についてでした。

給食は、ただ子どもが空腹を満たすための“一食”ではない。
家庭の価値観や、親の判断基準を静かにつくっている――
今回は、その対話の中で改めて浮かび上がった
「給食の本当の役割」について、お話を伺いました。

給食は「安心だから任せていいもの」になっていないか

―― 区長に伝えた、最初の問題意識とは?

「今回の機会は、特別な政治的な場というより、
港区の市民と区長が意見を交わす、いわば“交流の場”でした。

もともとは、麻布小学校に通うお母さんから
『ぜひ一緒に』と声をかけてもらって参加したのがきっかけです。

でも実は、以前からずっと
“いつか給食の話を直接できたら”と思っていました。

なぜなら、診療をしていると
給食に対して、親御さんがとても強い信頼を置いていることを日々感じていたからです。

『給食があるから、朝は多少適当でも大丈夫』
『一日一食は給食というちゃんとしたものを食べているから安心』

そう思っているご家庭は、決して少なくありません。」

「給食がお手本」だからこそ、影響は家庭に広がる

―― 保護者にとっての“基準”という存在

「給食は、学校という公的な場で提供される食事です。
だからこそ多くの保護者は、

『国や自治体が出しているものだから安全』
『専門家が考えているはず』

と、自然に信頼を寄せます。

その信頼は、とても健全なものだと思います。
むしろ、そうであるべきものです。

だからこそ、給食は子どもたちだけでなく、
保護者にとっても“食事のお手本”のような存在になります。

学校で出されているものが基準となり、
家庭でも

『これくらいで大丈夫なのだろう』
『こういう食材の選び方が標準なのだろう』

と、無意識のうちに判断のよりどころになっていく。

給食には、それだけ大きな影響力があります。

だからこそ私は、
給食は“お手本であるべき存在”だと思っています。

そして同時に、
今の給食は本当にその役割を果たせているのだろうか。

そんな問いを、今回の対話の中でも共有させていただきました。」

無償化よりも、まず「質」を

―― 無償化より優先したいこと

「区長とのお話の中で、
オーガニック給食の話題にもなりました。

他の自治体では、全面的なオーガニック給食を導入している例もありますし、
港区としても“食の質”には力を入れていきたい、というお話を伺いました。

その上で、私がお伝えしたのは、
“無償化よりも、質の向上を優先してほしい”という考えです。

無償化自体が悪いわけではありません。
ただ、無償になることで
『意見を言いづらくなる』
『より安い食材を求めざるを得なくなる』
そんな流れが生まれてしまったら、本末転倒です。

成長期の子どもの体は、本当に、食べたものでできています。

だからこそ、給食の“値段”よりも“中身”を大切にしたい。
その思いを、率直にお伝えしました。」

「オーガニック給食の日」が持つ、本当の意味

―― 啓蒙としての給食という役割

「実は、港区ではすでに
月に一度“オーガニックの日”を設けたり、
『世界の給食』として多様な献立を出したり、
いろいろな取り組みをされているそうです。

ただ、その事実を通っているお母さん自身が知らなかった。

ここに、私は少しもったいなさを感じました。

完璧なオーガニックを、毎日提供するのは現実的に難しい。
さらに加えると、実は、本当に厳密な意味でのオーガニック食材は、
市場全体のごくわずかしかありません。

でも、月に一度でも
『今日はオーガニックの日です』と明確に打ち出すことには、
大きな意味があります。

それは、子どもだけでなく、
保護者にとっての“学び”になるからです。

給食は、食育であり、啓蒙でもある。
その役割を、もっと前面に出していいと感じています。」

「給食さえあれば大丈夫」という思い込み

―― 医師として感じる、もう一つの懸念

「もう一つ、医師として気になっているのは、
給食が“万能”だと過信されてしまうことです。

中には、
『朝ごはんは食べなくても、給食があるから』
『給食で栄養は足りているはず』
そう考えてしまうご家庭もあります。

でも、現実的には
給食一食で、三食分の役割を担うことはできません。

特に、タンパク質については
“量”だけでなく、“吸収率”まで考えると、
決して十分とは言い切れない献立もあります。

牛乳にタンパク質を期待しすぎているケースも多く、
数字上は足りているように見えても、
実際に体に入ってくる量は少ない、ということもある。

給食は大切です。
でも、あくまで“三食のうちの一食”。

その前提を、
親も、学校も、行政も、
共有できることが理想だと思っています。」

「お手本になる給食」を目指して

―― 行政と家庭をつなぐ存在として

「私が理想とする給食は、
単にお腹を満たすものではありません。

無添加で、できるだけ農薬を避け、
日本の伝統的な食事を大切にしながら、
吸収率まで考えた栄養がきちんと取れること。

そして何より、
『こういう食材を選べば、家族の健康を守れるんだ』
と、親御さんが家庭に持ち帰れる“お手本”であることです。

それは、簡単なことではありません。
現場の大変さも、制約も、理解しています。

それでも、
給食が持つ影響力の大きさを考えると、
ここに向き合う価値は、必ずある。

医師として、母として、
そして一区民として。
これからも、できる形で声を上げ続けていきたいと思っています。」

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