血液検査から見えてくる「隠れ貧血・栄養不足」――まずはデータで不調を見える化
2025.9.2
起立性調節障害と診断された子どもの多くに、実は「隠れた貧血」や「栄養不足」が潜んでいる——。
そう話すのは、「Health&Cureクリニック赤坂」院長の山口里恵です。
今回は、山口院長が血液検査を重視する理由と、そこから広がる家族全体の健康づくりについて伺いました。
子どもの不調をデータで見える化し、家庭で改善へ
—— 起立性調節障害と診断されても、実際には栄養不足を抱えているケースが多いそうですね。
「はい。外来では、起立性調節障害と診断されているお子さんが、実は貧血や栄養不足を抱えていることがとても多いです。
本来は“貧血や栄養失調を除外したうえで診断する”のが前提ですが、症状だけで判断されていることも少なくありません。私はそこにずっと違和感を持ってきました。」
血液データを重視する理由
—— 先生は「新起立テスト」ではなく血液検査を重視されています。その理由は?
「“新起立テスト”は教科書的には確定診断や重症度判定に用いられる検査ですが、私は行っていません。
理由は2つあります。
1つは、朝一番で30分ほどかけないと意味がないこと。
もう1つは、基準に当てはまらなくても症状があれば診断がつくため、予後に影響しないことです。
それよりも血液検査で不足している栄養素を見つけ、改善に取り組む方が効果的だと感じています。実際に、鉄分やタンパク質を補うだけで症状が大きく改善するお子さんは少なくありません。」

病名よりも「改善できる部分」に注目する
—— 病名にこだわらず、改善につながる部分を重視されているのですね。
「便宜上“起立性調節障害”という病名を使うこともあります。学校や周囲の理解を得るためには有効だからです。
ただ、私にとって大切なのは“病名をつけること”ではなく“改善できる要素を一つずつ整えること”。鉄不足やタンパク不足といった土台を整えなければ、薬を使っても根本的な改善は難しいのです。」

家族単位での健康づくりへ
—— お子さんだけでなく、ご家族へのアプローチも大切にされているそうですね。
「はい。不調を抱えるお子さんを診るときは、ご家族の生活や体質も必ず一緒に見ます。食事や腸内環境は、親子で驚くほど似ているからです。
特にお母さんの体調が安定すると、お子さんのメンタルや体調にも良い影響が出ます。そのため外来では、お子さんだけでなくご家族にも改善のヒントをお伝えするようにしています。
“家族全体で健康を整える”ことが、再発を防ぎ、長期的な安定につながると信じています。」
血液検査は不安を希望に変える「地図」
—— 血液検査は、どのような役割を果たすとお考えですか?
「血液検査は、症状の原因を探るための地図のようなものです。数値を正しく読み取り、改善の方向性を示せれば、ご家族にとっても不安の中で手探りしていた状況から安心へとつながります。
私が血液データを重視するのは“病気を治す”ためだけではありません。ご本人とご家族が“自分たちで健康をつくる力”を取り戻せるようにするためなんです。」
あなたとご家族の伴走者として
—— 最後に、患者さんとご家族へのメッセージをお願いします。
「もし今、お子さんやご家族の体調に不安を抱えているなら、一人で悩まずにご相談ください。血液データをもとに一緒に原因を見える化し、日常生活で実践できる改善方法を探していきましょう。
私が伴走者として寄り添いながら、安心して前に進めるようサポートいたします。」




