思春期は“待つ”だけじゃもったいない —— 起立性調節障害を“放置しない医療”へ
2025.11.30
起立性調節障害(OD)は「思春期によくあること」「時期が来れば治る」と言われることが少なくありません。
しかし、「待つ」ことが、時に子どもたちの大切な時間を奪ってしまうこともあります。
「Health&Cureクリニック赤坂」では、待つ医療ではなく、“取り戻す医療”を実践しています。
今回は、山口里恵院長にその思いを伺いました。
「“時期が来れば治る”—— それは本当に正しいのでしょうか?」
—— 山口先生は、起立性調節障害の診療の中でどんな変化を感じていますか?
「開業から半年が経って、ようやく自分の治療の柱が確立してきたと感じています。
栄養療法しか手札がなかった時期から比べると、いまは知識も手応えもずっと増えました。
日々診療をしていると、私が伝えたことを実践してくれるほど、確実に回復していく姿を目の当たりにしています。
もちろん全員が同じスピードで治るわけではありませんが、それでも“取り組めば変わる”という確信を今は持っています。」

「“待つ”のではなく、“取り戻す”医療を」
—— 起立性調節障害は「思春期が終われば良くなる」といった説明をよく耳にします。
「それ、正直言ってとても残念なんです。
『時期が来れば治る』というのは、一見やさしいようでいて、とても無責任な言葉だと思います。
思春期のこの時期にしかできない経験や出会い、学びがたくさんありますよね。
それを“体調が悪いから仕方ない”で終わらせてしまうのは、あまりにももったいない。
だから私は、“待つ”のではなく、“取り戻す医療”をしたいんです。
できることがあるなら、できるだけ早く取りかかって、子どもたちとご家族が本来の時間を取り戻せるようにしたいと思っています。」

「家族全体が、明るさを取り戻していく」
—— 起立性調節障害は、本人だけでなく家族にも影響があると聞きます。
「本当にそうです。不登校のお子さんが一人いるだけで、家の中がどんよりしてしまうことがあります。
お母さんが仕事を辞めざるを得なかったり、下の子にしわ寄せがいったり、家庭全体が疲弊してしまう。
でも、その子が回復して学校に戻れるようになると、家族全体の空気が変わるんです。
笑顔が戻って、会話が増えて、家全体が再生していく。
だから私は、子ども一人を診るというより、“家族を診る”つもりで治療しています。」
「起立性調節障害は“生活習慣病”の一側面として捉えています」
—— 山口先生が考える「原因」とは、どんなものなのでしょうか?
「私は起立性調節障害を“生活習慣病の一種”と捉えています。
原因不明と言われていますが、実際には現代社会特有の要因が関係していると感じています。
たとえば、電磁波・農薬・添加物・超加工食品など、
“昔はなかったけれど今は身の回りにあるもの”が、自律神経に少なからず影響しているのではないかと。
特に、食品添加物は“菌を殺す”性質を持っています。
それが腸内の善玉菌まで弱らせ、セロトニンの産生が減ってしまう。
結果的に自律神経のバランスが崩れる——そんな連鎖が起きている可能性があるんです。」
「小さな工夫でも、体は確実に応えてくれる」
「だから、私は“できることからやっていきましょう”とお伝えしています。
例えば、枕元でスマートフォンを充電しながら寝ないこと。
距離を1メートル離すだけでも、体は休まりやすくなります。
YouTubeを見るなら、スマホではなくテレビで。
ブルーライトや電磁波の影響を減らすだけで、睡眠の質が変わる子も多いんです。
これらは難しいことではありません。
“副作用のない予防”として、できることを積み重ねていくことが大切です。」
「信じて、実践する力が回復を早める」
—— 実際に回復した患者さんの例を教えてください。
「印象に残っているのは、小学4年生の女の子です。
お父さんが毎回診察に来てくださって、最初は“お料理できるかな…”と心配していたのですが(笑)、
本当に私のアドバイスを全部実践してくれました。
酵素ジュースを作り、天然塩を取り入れ、加工食品をやめて、
お味噌汁やご飯を丁寧に用意してくれて。
その結果、たった半年で見事に回復し、元気に学校へ戻っていきました。
“治療を早く始めた子ほど、早く治る”
これは本当に実感しています。思春期の限られた時間を無駄にせず、
早めに生活を整えることで、未来が変わるんです。」
「守りではなく、“攻めの医療”を」
「“時期が来れば治る”という言葉の裏には、実は“治そうとしない医療”が潜んでいる気がします。
でも私は、“守り”ではなく、“攻めの医療”を選びたい。
できることを一つずつ積み重ねていけば、
子どもたちは必ず元気を取り戻していきます。
私が願うのは、“病気とともに過ごす思春期”ではなく、
“自分の力で未来を取り戻す思春期”です。
ご家族みんなでその時間を取り戻せるよう、
これからも一緒に歩んでいきたいと思っています。」
まとめ
思春期の時間を「待つ」のではなく、「取り戻す」。
山口院長が語るこの言葉には、治療の哲学と、未来への希望が込められています。
起立性調節障害は“治らない病気”ではありません。
“できることを信じて始める”——その一歩が、子どもの人生を大きく変えていきます。




